- グロテスク/桐野 夏生
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今、読んでいます。もうあと少し…。
これは1997年に起きた「東電OL殺人事件
」をモチーフにしています。
この事件が起きたとき、
私は夫とのセックスレスに深く苦しみながら、
かつ、社会的にも「専業主婦でしかない」自分に苦しみながら、
不倫に踏み出す勇気もなく、
子育てをしながら就職する勇気もなく
悶々と苦しんでいた時でした。
ですので、39歳という、すでに若くない年齢の女性が、
(私はそのとき31歳だった)
しかも慶応を出て東電で総合職をしている女性が、
夜の街で売春をしていたということに
一瞬、すごくショックを受けたのを覚えています。
でも、直感的に感じたのは
「男の人に、女として求められたかったんだろう」ということ。
だから、ただのような値段で、
ホテル代がもったいないという男に
野外の駐車場のような場所でもOKで
体を売っていたんだろう…と。
会社では絶対に勝てない「男たち」が
金を払ってまで自分を求めること、そのことが
快感だったのだろうと思いました。
その瞬間は男世界に勝つというか、
男をひれ伏させていると感じていたのではないかと思っていました。
著者はこの本で「あらゆる差別を描きたかった」そうです。
男と女なら当然、女の方がまだ差別されています。
だから女で描くことになったのでしょう。
この本は、たくさんの女たちが一人称で語りかけてきます。
どの女も幸せとは程遠い場所にいます。
現代における女の生きにくさをひしひしと感じさせる本です。
それにしても、この本は2003年初版です。
なぜ、今頃読んでいるのか、私?
子育て真っ最中で会社勤めしているときは、
長編小説を読む時間も気力もなかったのだなあ…。